
ノロウイルス感染症の予防と対策には、特に汚物の適切な処理と清掃が極めて重要です。ノロウイルスは汚物である嘔吐物や排泄物を通じて広がるため、清掃と消毒の徹底が鍵となります。
この記事では、ノロウイルスの特徴、汚物を介した感染経路、症状を解説し、効果的な予防策としての汚物処理手順や使用する消毒薬を詳しく紹介します。お客様や従業員の健康を守るために、実践可能な安全な清掃方法を学びましょう。ノロウイルスに負けない日常を手に入れ、安心して過ごすための情報をまとめたこの記事をぜひご活用ください。
ノロウイルスの特徴と感染経路
ノロウイルスの特徴
ノロウイルスは、非常に感染力が強いウイルスであり、わずかな量でも人に感染します。
このウイルスは主に腸内で増殖し、感染者の汚物(便や嘔吐物)を通じて外部に排出されます。特に冬季に流行しやすく、低温環境では長時間生存できる特徴があります。ノロウイルスは耐性が高く、一般的なアルコール消毒では十分な効果が得られません。
そのため、嘔吐物や便などの処理や消毒には、厚生労働省で推奨されている「ノロウイルス対策7法」(後述)に基づき、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒剤を使用することが重要です。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスの感染経路は、主に「経口感染」と「接触感染」があります。
経口感染は、ウイルスが付着した食品や水を摂取することによって起こります。特に、生の二枚貝や十分に加熱されていない食品が感染源となりやすいため、調理時には注意が必要です。
また、接触感染は、感染者の汚物(便や嘔吐物など)の処理を行う際、適切な対処や消毒がなされないと、ウイルスが手や物を介して広がってしまいます。
ウイルスが付着したドアノブや調理器具などの物を触った手で口に触れることで、簡単に感染が成立します。
ノロウイルス対策 7つの方法
| ①手指の洗浄をていねいに行う | トイレの後、調理の前、盛り付け時など、こまめな手洗いが重要。 |
|---|---|
| ②下痢や嘔吐症状がある場合は調理に携わらない | 感染が広がらないようにするため、症状があるときは調理作業をしない。 |
| ③カキなどの二枚貝は、中心部まで加熱する | 生食を避け、中心部まで85℃~90℃で90秒以上加熱する。 |
| ④盛り付け時には、マスクや手袋をつける | 調理器具や食品を汚染させないように、マスクと手袋を着用する。 |
| ⑤トイレへ入る際は、調理作業着を脱ぎ、履物を履き換える | トイレや手に触れる場所を汚染しないように注意する。 |
| ⑥トイレや手に触れる場所(ドアノブ等)を消毒する | 塩素系消毒剤などでこまめに消毒する。 |
| ⑦嘔吐物の処理は注意して行う | マスクや手袋を着用し、感染が広がらないように十分に注意して処理する。 |
ノロウイルス感染時の症状と発生時期
ノロウイルス感染時の症状
ノロウイルス感染時には急性胃腸炎の症状が現れ、特に突然の嘔吐が特徴的です。
主な症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱で、これらは感染後24〜48時間以内に現れることが多いです。嘔吐や下痢が続くと脱水症状を引き起こすことがあるため、特に幼児や高齢者では注意が必要です。
感染力が非常に強いため、症状が出た場合は、周囲への感染拡大を防ぐためにも、嘔吐物や汚物の処理後は正しい消毒方法(例:次亜塩素酸ナトリウムの使用)を実施しましょう。
また、症状が重い場合や改善しない場合は、すぐに医療機関へ連絡し、医師の指示に従ってください。
ノロウイルスの発生時期
ノロウイルスの発生時期は、毎年11月から3月にかけての寒い季節に集中します。
特に12月から1月にかけては感染者数が急増しやすく、この期間は嘔吐物や処理物を正しく対処することが重要です。気温が低下するとウイルスの生存期間が延び、感染リスクも高まります。
また、年末年始や新年会など人が集まる機会が増えることも感染拡大の要因です。
ノロウイルスは感染者の汚物(嘔吐物や便など)を通じて広がるため、発生時期には、嘔吐物や処理物の適切な消毒と「ノロウイルス対策 7つの方法」に基づく対処が不可欠です。
ノロウイルスの予防対策
ノロウイルスの予防対策は、前述したノロウイルス予防対策などを参考にしながら、食品・調理器具・手洗いなど個別に留意する必要があります。
食品の取り扱いと調理上の注意
ノロウイルスなどによる感染リスクを低減するためには、食品の取り扱いや調理時の注意が極めて重要です。
まず、生鮮食品の購入後はすみやかに冷蔵・冷凍し、適切な温度で保存管理を徹底しましょう。調理前には必ず石けんで手を洗い、調理器具や調理台の消毒も忘れずに行います。特に、汚物(嘔吐物)に触れた後や処理を行った後には、塩素系消毒剤を用いた消毒法が効果的です。
生肉や魚介類を扱う場合は、まな板や包丁などを使い分けるか、使用後は速やかに洗浄・消毒し、クロスコンタミネーション(交差汚染)を防ぎます。また、ウイルスや細菌を死滅させるため、食品は中心温度85℃以上で90秒以上加熱することが調理ガイドラインとして推奨されています。調理後の食品はできるだけ早く食べ、保存する場合は再加熱を徹底しましょう。
調理器具等の衛生管理
調理器具等の衛生管理は、ノロウイルスなどの感染症対策に不可欠です。
特に嘔吐物や処理物が発生した場合、その周辺の調理器具や食器にはウイルスが付着している可能性があるため、徹底した消毒が必要です。
まず、汚物(嘔吐物)処理の際は使い捨て手袋やマスクを着用し、汚れた器具や周辺は速やかに処理します。その後、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使用して、調理器具や調理台などをしっかり消毒しましょう。
使用したスポンジやふきんも、汚物(嘔吐物)や処理物に触れた場合はすぐに廃棄するか、消毒液で洗浄します。
まな板や包丁などは生肉・魚介類などの処理後、他の食品に使用する前に必ず消毒を行い、可能であれば用途ごとに使い分けることが望ましいです。
手洗いの徹底と方法
ノロウイルスなど感染症の拡大を防ぐためには、嘔吐物や処理物を扱った後の手洗いが特に重要です。
手洗いは、嘔吐物や処理物に触れた場合や、消毒作業後、トイレの使用後、調理の前後、外出先から戻った後に必ず行う必要があります。
手洗いの方法としては、流水と石鹸を使い、20秒以上かけて手のひら、甲、指の間、指先、親指、手首を丁寧に洗います。特に爪の間や指先にはウイルスや汚れが残りやすいため、念入りにこすりましょう。
その後、清潔なタオルまたはペーパータオルでしっかりと水分を拭き取ります。嘔吐物や処理物が付着した衣類やタオルは、すぐに洗濯し、消毒処理を徹底しましょう。
正しい手洗いと消毒、洗濯の習慣化が感染症予防の基本となります。
汚物(嘔吐物・排泄物)処理と清掃方法
準備物
まず、嘔吐物に直接触れないよう、使い捨ての手袋とマスクを必ず用意しましょう。さらに、衣服への汚染を防ぐために使い捨てエプロンや防水性のカバーも役立ちます。嘔吐物や処理に使った紙タオル・ぞうきんなどの汚染物は、すぐに密閉して廃棄できるようビニール袋を準備しておきます。また、嘔吐物処理後の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液が一般的に推奨されます。消毒液を使って処理することで衛生環境を改善し、微生物リスクを低減します。最後に、処理作業後は石鹸と流水で手を丁寧に洗うことも忘れずに行いましょう。
なお、汚物(嘔吐物・排泄物)を処理するアイテムを個別に準備するよりも、嘔吐物凝固処理剤や次亜塩素酸ナトリウム液など汚物を適切に処理するためのアイテムや、使い捨てガウンや使い捨て手袋など処理者の汚染を防止するためのアイテムがセットになった市販の汚物処理ツールを購入・準備しておくのもおすすめです。
汚物の処理手順
嘔吐物処理を始める前に、手袋とマスクを着用して自身を守りましょう。次に、嘔吐物や汚物を使い捨てのペーパータオルなどで静かに拭き取り、飛び散りや接触による二次汚染を防ぎながら、密封できる袋に入れて封をします。その後、消毒液を適切な濃度で調製し、嘔吐物や処理物が付着した床や壁などの周囲を十分に消毒します。特に、液体が染み込んだ部分や広がった範囲は念入りに処理してください。最後に、使用した手袋やマスクも同じく密封して廃棄します。処理が完了したら、石鹸を使って丁寧に手洗いを行いましょう。
床などの清掃方法
汚物(嘔吐物)が床や周辺に付着した場合は、嘔吐物処理専用の使い捨て手袋とマスクを着用し、直接触れないように注意します。嘔吐物を紙やペーパータオルなどで丁寧に取り除いた後、嘔吐物が付着した床やその周辺を消毒液でしっかり拭き取ります。このとき、処理物が広がらないよう外側から内側に向かって拭き取るのがポイントです。
また、嘔吐物処理や清掃に使用した物品は、再利用する場合にも必ず消毒液で消毒し、可能であれば使い捨ての物を利用するのが安心です。清掃後にはその場をしばらく立ち入り禁止にするなど、ウイルスが他の場所へ拡散しないよう徹底することも心がけましょう。これらの処理方法を守ることで、施設内での二次感染リスクを大幅に減らすことができます。
汚物の衣類・カーペットへの付着対応
汚物(嘔吐物・排泄物)が衣類やカーペットに付着した場合は、適切な処理と消毒方法を選ぶことが重要です。汚染された衣類は他の洗濯物と分け、密閉袋に入れて移動します。80℃以上の熱水での洗濯が有効である可能性が高いのですが、難しい場合は次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液に一定時間浸し、その後に通常の方法で洗濯してください。その際、色落ちや生地の劣化にも注意しましょう。
カーペットの場合、汚物を丁寧に取り除いた後、清掃用スプレーで消毒し、十分に乾燥させることが推奨されます。必要に応じてクリーニングサービスを利用する方法も適切です。処理の際は使い捨て手袋やマスクを着用し、作業後は必ず手洗いを徹底することで感染拡大を防止します。
消毒方法と使用薬剤
次亜塩素酸ナトリウムの使い方
次亜塩素酸ナトリウムの使用方法としては、まず処理する物の種類や汚れの程度に応じて、適切な濃度に希釈することが大切です。例えば、嘔吐物の消毒には0.1%程度の濃度が推奨されます。実際の消毒方法としては、使い捨て手袋やマスクを着用し、換気を行ったうえで、嘔吐物などをペーパータオルなどで取り除き、その後、希釈した次亜塩素酸ナトリウムを十分にかけて消毒します。
消毒後は、処理した部分を水拭きし、使用した器具や手はしっかり洗い流しましょう。実際に使う際は必ず製品の使用方法を確認し、誤った使い方を避けることが安全かつ効果的な消毒につながります。
アルコール消毒の有効範囲
アルコール消毒液は、一般的にはインフルエンザウイルスや風邪の原因となるウイルス(エンベロープウイルスに有効)の処理に効果的な消毒法と考えられています。しかし、ノロウイルスなど汚物(嘔吐物)に含まれる一部のウイルスに対しては、その有効範囲が限定的であるため、対処方法に注意が必要です。特に嘔吐物の処理では、アルコール消毒液だけでなく、次亜塩素酸ナトリウムなど他の消毒法も考慮することが推奨されます。
アルコール消毒液は衛生管理の用途、また物の表面の消毒に適しています。消毒前には、対象となる物の表面の汚れをしっかり拭き取り、清潔な状態にしてから消毒することで、より高い効果が得られます。アルコール濃度は60%以上のものを選ぶと、より高い効果が見込まれます。手指消毒やドアノブなど頻繁に触れる物の消毒処理においても、アルコール消毒液は便利な対処法となります。
消毒薬の調製方法
汚物(嘔吐物)処理の際、感染リスクを抑制する目的のためには適切な消毒液の調製が不可欠です。次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒液を作る場合、0.05%〜0.1%の濃度になるよう希釈します。家庭用漂白剤を使う場合は、500mLの水に0.5mLの漂白剤を加えることで0.1%の消毒液ができます。
また、物の消毒には、WHO(世界保健機構)の推奨する消毒法に基づき、一般的に70〜80%濃度のアルコール消毒液が適切とされています。市販の消毒用アルコールはそのまま使用するか、必要に応じて水で薄めてください。調製した消毒液は密閉容器に入れ、直射日光を避けて保存し、できるだけ早めに使い切りましょう。
消毒液を使用して物や嘔吐物の処理を行う際は、必ずゴム手袋を着用し、消毒液が目や口に入らないよう注意が必要です。適切に使用することで、一般的に表面の除菌を補助するとされています。
消毒箇所のポイント
ノロウイルスの嘔吐物処理において消毒の効果を高めるためには、消毒液を使用する箇所の選定が重要です。特に嘔吐物が付着した場所や、その周辺の床や壁は、ウイルスが残留しやすいため、重点的に処理・消毒を行いましょう。また、嘔吐物処理の際に触れた手すり、ドアノブ、スイッチ、リモコン、電話機などの物も忘れず消毒液で拭き取ることが必要です。これらの物は人が頻繁に触れるため、ウイルスの二次感染を防ぐうえで重要なポイントとなります。
さらに、キッチンやトイレなど水回りでは、定期的な消毒液による処理が効果的です。消毒液は、用途や対象物に合わせて適切な濃度で使用し、嘔吐物処理後も十分に消毒を続けることで、施設の衛生管理の一助となります。
営業施設の清掃・消毒ポイント
手すりやドアノブの消毒
手すりやドアノブは多くの人が触れるため、ウイルスや細菌の付着リスクが高い場所です。特に汚物(嘔吐物)処理の際には、これらの物にウイルスが付着する危険性があるため、徹底した消毒が必要です。手すりやドアノブの表面を十分に拭き取ることで、ウイルス付着リスクを低減させる可能性があります。普段から1日1回以上の消毒を心掛け、嘔吐物の処理後や感染症が流行している時期には、清掃頻度を見直すことをおすすめします。
床や設備の消毒
ノロウイルスなどの感染症対策として、床や設備の消毒は非常に重要です。特に汚物(嘔吐物)処理の際は、処理物や周囲にウイルスが拡散しやすいため、速やかに適切な対応が求められます。まず、嘔吐物や汚染物をペーパータオルなどで丁寧に取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使用して、床や設備をしっかりと消毒します。消毒液は、処理物があった箇所だけでなく、周囲も広めに拭き取ることが大切です。また、ドアノブや手すりなど人が触れる設備も忘れずに消毒しましょう。
共用スペースの衛生管理
共用スペースの衛生管理は、施設全体の健康を守るために不可欠です。特に嘔吐物が発生した場合は、迅速かつ適切な対処が求められます。まず、使い捨て手袋やマスクを着用し、嘔吐物をペーパータオルなどで丁寧に取り除きます。その後、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤を適切な濃度で使用し、汚染箇所をしっかりと消毒します。
また、日常的な清掃や消毒も重要です。エレベーターのボタン、テーブルや椅子、厨房やトイレのドアノブなど、手が触れやすい場所は特に重点的に消毒してください。飲食スペースや休憩所では、こまめな換気とともに、消毒・清掃の頻度を高めることが効果的です。衛生管理の一貫性を保つためには、清掃・消毒のスケジュールを作成し、スタッフ全員で共有することが重要です。
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今回の記事では、「ノロウイルスの特徴と感染経路」や「症状と発生時期」「予防対策のポイント」「汚物(嘔吐物・排泄物)の処理」「消毒方法と使用薬剤」などについて解説しました。
ノロウイルスは強力な感染力を持つだけに、たった1回の出来事であっても適切に処理しなければ、非常に大きなリスクとなります。その期間、営業ができなくなってしまうだけでなく、今まで築いてきたお店の信頼を失ってしまうことにもつながるため、何としても防ぐことが大切です。いざという時に備えて、安心・安全な汚物処理や清掃を徹底したいとお考えなら、ぜひ「ダスキン」の商品・サービスの活用を検討してみてください。
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